判決の分解 (東京地裁 平成23年12月13日 判決) TAINZ Z999-8307

 

動物専用墓地等の課税

 

事案の概要

原告の宗教法人の所有する土地を、宗教法人Aが無償で借り受け、その土地を宗教法人Aが、動物専用墓地として利用していたところ、練馬都税事務所が、固定資産税及び都市計画税を賦課した。これに対し、原告が、この賦課処分の取り消しを求めた。

 

判決

 

「地方税法348条2項本文は、『固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課すことができない』と規定し、その3号において『宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内建物及び境内地』を掲げ、また、地方税法702条の2第2項は、『市町村は、第348条第2項(中略)の規定により固定資産税を課することのできない土地又は家屋に対しては、都市計画税を課することはできない。』と規定している。そして、宗教法人法第3条は、境内地とは、同条2号から7号までに掲げるような宗教法人の同法2条に規定する目的のため必要な当該法人に固有の土地をいうものと規定し、同法2条は、『宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること』を宗教団体の主たる目的としている。

 

地方税法にいう非課税たる境内地とは (意義)

 

「上記各規定からすると、地方税法348条2項3号にいう非課税とされる境内地とは、宗教法人が宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成するために必要な当該宗教法人固有の土地であって、当該宗教法人が専らその本来の用に供するものをいうと解される(「境内地」に関する宗教法人法3条各号の例示の中で、本件において主として検討すべきものは、4号の「宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地」である。)。」

 

そして「当該土地が同号にいう『宗教法人が専らその本来の用に供する境内地』に該当するかどうかいなかは

 

「当該境内地の使用の実態」を

「社会通念に照らして客観的に判断すべきである」

 

「本件課税土地は、Aが所有者である原告から無償で貸与を受けて使用しているものであるから、本件課税土地の使用の実態を判断する際も、Aを基準として判断すべきことになる」

 

<事実認定>

1.「本件課税土地は、動物を埋葬するための専用の墓地として利用されており、慰霊碑や聖観音像の敷地とは植栽などにより区別されていることが認められるから、本件課税土地を慰霊碑や聖観音像の敷地と不可分一体のものとして利用されていると認めることはできない。」

2.「動物の飼主から依頼があるときには、僧侶資格を有しないAの職員が動物の遺体を火葬又は埋葬するところ、その際、

 

特に元飼い主から依頼がある場合には、Aの住職を兼務する原告の住職が立ち会って本件課税土地において読経が行われることがあるが、その回数は年に2回程度に過ぎず、その他の時にはAの職員が立ち会うのみであること

 

四十九日や一周忌等の法要の際に動物の元飼い主から依頼があった場合には、本件課税土地においてA住職による読経が行われることがあるが、その回数は年20回程度に過ぎないこと

 

慰霊祭の際には、慰霊碑の壇上で住職による読経が行われた後、本件課税土地内の通路部分を僧侶が歩きながら供養を行うが、その回数は年2回にすぎないことが認められること」

 

そうすると、「Aが本件課税土地を浄土宗の儀式行事に利用するのは上記機会に限られ、その余の多くの場合には、本件課税土地はAが行う儀式行事以外の目的で、専ら動物の火葬・埋葬を依頼した元飼い主によって利用されているに過ぎないことになる。」

 

3.「同条(宗教法人法2条:筆者注)の儀式行事とは、礼拝の対象に対する祈りや感謝のための当該宗教の教義及び様式等に従った儀礼的な式典であると解され、一般人が行う上記の行為は、宗教的な行為ということができても、同条の儀式行事に該当るとは言えない

 

 

<判定>

 

「本件課税土地は、Aにより浄土宗の儀式行事を行う場として利用される機会はあるものの、その機会はごく限られたものにすぎないのであるから、本件課税土地がAの儀式行事本来の用に専ら供されている土地であると認めることはできない。

「Aが宗教の教義をひろめ、信者を教化育成するために本件課税土地を利用している事実を認めるに足る証拠はない」

 

⇒「本件課税土地は地方税法348条2項3号の『宗教法人が専らその本来の用に供する境内地』には該当しない」

 

 

地方税法

(固定資産税の非課税の範囲)

第三百四十八条  市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない。

 固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合においては、当該固定資産の所有者に課することができる。

 

 宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第三条 に規定する境内建物及び境内地(旧宗教法人令の規定による宗教法人のこれに相当する建物、工作物及び土地を含む。)

 墓地

 

(都市計画税の非課税の範囲)

第七百二条の二  市町村は、国、非課税独立行政法人、国立大学法人等及び日本年金機構並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区、合併特例区及び地方独立行政法人に対しては、都市計画税を課することができない。

 前項に規定するもののほか、市町村は、第三百四十八条第二項から第五項まで、第七項若しくは第九項又は第三百五十一条の規定により固定資産税を課することができない土地又は家屋に対しては、都市計画税を課することができない。

 

 

宗教法人法

(宗教団体の定義)

第二条  この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。

 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体

 前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体

 

(境内建物及び境内地の定義)

第三条  この法律において「境内建物」とは、第一号に掲げるような宗教法人の前条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいい、「境内地」とは、第二号から第七号までに掲げるような宗教法人の同条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう。

 本殿、拝殿、本堂、会堂、僧堂、僧院、信者修行所、社務所、庫裏、教職舎、宗務庁、教務院、教団事務所その他宗教法人の前条に規定する目的のために供される建物及び工作物(附属の建物及び工作物を含む。)

 前号に掲げる建物又は工作物が存する一画の土地(立木竹その他建物及び工作物以外の定着物を含む。以下この条において同じ。)

 参道として用いられる土地

 宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地(神せん田、仏供田、修道耕牧地等を含む。)

 庭園、山林その他尊厳又は風致を保持するために用いられる土地

 歴史、古記等によつて密接な縁故がある土地

 前各号に掲げる建物、工作物又は土地の災害を防止するために用いられる土地