判決の分解(東京家裁 昭和60年11月19日 審判)判例タイムズNO.575  56-58頁

 

特別縁故者の意義

 

事案の概要

被相続人Aには、相続人のあることが明らかではなかった。それに対して、被相続人よりかなり年長の従兄弟であって被相続人の父親代わりの役目を果たしたうえ相続財産中の主要部分を占める不動産の取得につき多大の尽力をした申立人Bは、当該不動産の分与を申し立てた。被相続人Aの子で被相続人と兄弟同様にして育てられ被相続人とある程度親密な交渉を持っていた申立人Cも同様の申立を行った。

 

 

審判

 

「以上の認定事実に基づいて、申立人が(申立人B.C)民法958条の3所定のいわゆる特別縁故者に該当するか否かについて、以下検討する。

 申立人らがいずれも被相続人と生計を同じくした者でもその療養看護に努めた者でもないことは、上記認定事実よって明らかである。

 そこで、申立人らが上記法条にいう「その他被相続人と特別の縁故のあった」といえるか否かについて考えるに、

 

【特別縁故者の意義】

 

同条所定の『その他の特別縁故者』とは

 

  1. 生計同一者、療養看護者に準ずる程度に被相続人との間に具体的かつ現実的な交渉があり
  2. 相続財産の全部または一部をその者に分与することが被相続人の意思に合致するであろうとみられる程度に被相続人と密接な関係があった者

 

を言うと解すべきである。

 

判断

申立人Bについて⇒認める

≪被相続人の父親の役目≫を果たした者≒「生計同一者」であり

・被相続人の幼時からその母さよりともよくその面倒を見て

・早くに実父を亡くした被相続人の生育を親身になって助け

・独り暮らしを続けている被相続人の身を案じて再三同人に縁談を勧める

≪被相続人と密接な関係があった者≫

・被相続人の相続財産の主要な部分をなす上記土地建物の購入についても多大の尽力をした

 

申立人Bについて⇒認めない

≪婚姻以後は被相続人との交渉の程度が薄くなり≫≒「親族として世間一般に通常見られる程度に過ぎないもの」

・時には被相続人の健康状態を尋ねる

・被相続人が入院した際にその見舞いに訪れる

 

 

 

 

(特別縁故者に対する相続財産の分与)

第九百五十八条の三  前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

 前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。